ホワイトバランスは、その場の光の中でカメラが「何を白と判断したか」を記録します。白い壁が、テーブルランプの下でオレンジ色になったり、日陰で青くなったりせず、白く見えるように保つための設定です。
カメラにそれが必要な理由と、それを含むファイル形式
あなたの目は、意識しないうちに光の色に順応しますが、カメラのセンサーはそうではありません。すべての光源にはそれぞれの色があり、古い電球の暖かい黄色から、曇り空の冷たい青までさまざまです。センサーはその色を、色かぶりも含めて忠実に記録します。ホワイトバランスは、その色かぶりを打ち消す補正であり、写真家が選ぶか、カメラが自動的に推測するかのどちらかです。
写真では、このフィールドは JPEG、HEIC、TIFF に加え、CR2、CR3、NEF、ARW、DNG などのカメラの RAW ファイルにも含まれます。カメラはシャッターが切られた瞬間、そのとき有効だったモードに基づいて値を書き込みます。後から編集ソフトで書き換えることもでき、Lightroom、Camera Raw、Capture One、darktable、RawTherapee などの RAW 現像アプリは、最終的に選んだホワイトバランスを記録します。カメラやビデオカメラの動画ファイル(一般的には MOV や MP4)にも、同じ設定が保存されることがあります。
この値は、2 か所に保存される場合があることも知っておくと便利です。すべてのカメラが書き込む標準フィールドと、メーカー独自の詳細な情報が入るメタデータのプライベート領域(メーカーコメント)があり、通常はこちらの方がはるかに詳しくなっています。
典型的な値の例
標準フィールドは大まかで、Auto と Manual の 2 値しかありません。そのため、「どんな設定か」ではなく「誰が決めたか」しか分かりません。
メーカーコメント側の情報には、通常カメラで選ばれていたプリセット名が入り、カメラ本体のメニューに表示される名前と一致します。Auto、Daylight、Cloudy、Shade、Tungsten、Fluorescent、Flash、Custom などです。カメラによっては、代わりに、またはあわせて、色温度(ケルビン)を記録するものもあり、その場合は 5500 のような数値だけが表示されます。赤と青のチャンネルに適用した倍率を保存する機種もあり、そのために見慣れない数字の列が並ぶこともあります。
それが重要な理由
ホワイトバランスは色の品質に関するフィールドで、設定を誤ると写真がオレンジっぽくなったり、青みがかったり、わずかに緑がかったりする最も一般的な原因になります。この値を読むことで、カメラが自動で推測していたのか、指定されていたのかが分かり、同じ撮影セッションの写真がそろわない理由の説明になることがよくあります。商品撮影やイベント写真の一連の画像で値がばらばらなら、光の変化に合わせてフレームごとに変動するオート設定のまま撮影していたことが疑われます。
また、どの程度まで後から修正できるかも分かります。RAW ファイルではホワイトバランスは単なる指示情報なので、後で変更しても画質の劣化はありません。一方 JPEG では補正結果がすでに画素に焼き込まれているため、正しい色に直す作業は「設定」ではなく「修復」に近いものになります。
このフィールドには個人情報は一切含まれません。記録されるのは光の情報であり、あなた自身や所在地、使用デバイスの情報ではありません。ただし、デバイスや場所を特定できる他のフィールドと同じカメラのメタデータブロック内に保存されるため、ホワイトバランスの値が含まれる写真では、それらの情報もあわせて確認する価値があります。