XMP Toolkit は、ファイル内の XMP メタデータブロックを書き込んだソフトウェア名を示します。これはソフトウェア自身が残したメモのようなもので、画像・文書・録音そのものについては何も教えてくれず、それを処理したソフトウェアについてだけを示します。
XMPとは何か、どのファイルがその行を持つのか
XMP は Extensible Metadata Platform の略で、元々は Adobe が開発したメタデータ形式です。タイトル、作成者、著作権、キーワード、編集履歴などの情報を XML テキストとして保存し、そのテキストブロックをファイル本体に埋め込むか、.xmp 拡張子を持つ別ファイル(サイドカー)として隣に置きます。XMP Toolkit の行は、そのブロックを生成したライブラリが残したスタンプです。
XMP は多くの形式に埋め込めるため、この行はさまざまな場所へ「移動」します。JPEG、TIFF、PNG、PDF、PSD、AI、INDD ファイル、DNG などのカメラ RAW ファイル、そして一部の動画・音声コンテナなどです。
値の由来
この値は自動的に書き込まれ、人が手入力することはありません。どのライブラリが XMP ブロックを書き込んでも、自分自身の名前とバージョンをスタンプし、その後にメタデータを書き換えたプログラムがあれば、そのソフトウェアが自分の名前で上書きします。つまりこの行は、ファイルのメタデータに最後に触れたソフトウェアを示しますが、それが必ずしもファイルを最初に作成したソフトウェアとは限りません。
実際に表示される名前は、いくつかのライブラリに属しています。Adobe 独自の XMP Core は Photoshop、Lightroom、Bridge、Acrobat、InDesign の内部で動作します。Exiv2 は GIMP、digiKam やその他多くのオープンソースアプリの下層で動いています。ExifTool は自分自身の名前とバージョンを書き込みます。また、行に Adobe のライブラリ名があるからといって、そのファイルが Adobe 製ソフトウェアで作成された証拠にはなりません。そのライブラリを使うプログラムは多数あり、単にコピーや変換をしただけのファイルでも、元々付いていたスタンプを保持していることがあります。
典型的な値の例
この値は自由記述のテキストであり、照合できる固定の一覧も単位もありません。実際には、ライブラリ名に続いてバージョン、場合によってはビルド日も続く形式で、Adobe XMP Core 5.6-c145 のような形になります。
この行自体が存在しない場合、最もありえる理由は、そのファイルに XMP ブロックがないというだけです。メタデータは、別管理の古い EXIF や IPTC フィールドに入っている可能性があり、そちらには専用の toolkit スタンプはありません。
それが重要な理由
この行の実用的な価値は「来歴」です。ファイルのメタデータを最後に扱ったソフトウェアを示すため、値がおかしい・勝手に変わった・消えたといった場合に役立ちます。もしスタンプに、プロジェクト内の誰も使っていないアプリ名が出てきたら、そのファイルはあなたが把握していない工程を経ています。たとえば変換アプリ、アップロードパイプライン、スマホアプリ、ストック素材ライブラリなどです。
軽い情報開示の問題もありますが、個人情報とは関係ありません。この行が特定するのはソフトウェアであり、人や場所ではありません。ただし、ファイルの受け取り手には、あなたのツールチェーンの一部が伝わります。どのエディタやアセット管理システムを文書が通過したかを公開したくない人もいるでしょう。
この値に依存している機能はないため、削除してもファイルの開き方や見た目は変わりません。ただし削除する際には注意が必要です。その周囲の XMP ブロックには、著作権表示、キャプション、クレジットなどの実際の内容が含まれていることがあり、ブロック全体を消すとそれらも一緒に消えてしまいます。